働いている施設が長期休業となったときに、ビルメンとして気を付けなくてはならないことがあります。



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先日NHKのニュースサイトにあった以下の記事を読んでいて、うちの施設での対策と重なる部分があったので記事にしようと思いました。







上記サイトでは排水トラップについて書かれていますが、うちの施設ではそれに加えて、給排水関連で次のようなことに気を付けて対策をとっています。


・排水トラップの封水が切れないようにする
・冷蔵ケースのドレンタンクの水を捨てる
・残留塩素濃度の低下に注意する(水道管と給湯器)


ひとつひとつ、簡単な説明と具体的な対策について書いていきます。





・排水トラップの封水が切れないようにする


排水トラップについてはリンクを貼ったNHKの記事を読んでいただくと分かりやすいかと思いますが、簡単に言うと、流し台とか洗面台の下にある、曲がりくねった排水管をイメージしていただけるとよいと思います。形状は様々ありますが、その曲がりくねった部分などには水がたまっており、配水管内の空気が逆流するのを防いでいるんですよね。



つまりその水がなくなってしまうと、下水道本管などの臭いが逆流してきて室内が臭くなったり、場合によっては人体に有毒なガスが発生してしまうこともあるようなんです。



水道を毎日使っていればその都度新しい水がトラップにたまるので、封水が切れてしまうことはほとんどありません(まれに発生することもありますが長期休業対策とは別の話なのでここでは割愛します)し、数日程度であってもあまり問題にならないことの方が多いと思います。



ただし休業期間が長引くと発生する可能性が高くなりますので対策が必要となります。その方法は「水を流す」だけです。普段は毎日使っていた水道を使わなくなったために発生するので、毎日とは言わなくても何日かに一度のペースで水を流し、封水を入れ替える作業をするということですね。



まあ単純に水を流すだけといっても、施設の規模によっては相当な作業になるわけなんですが。トイレの便器や手洗い場のひとうひとつ、厨房のシンク、給湯室など、それを全フロア分やらなきゃいけないんですよね。うちの場合は設備担当だけじゃなく清掃を担当している会社も協力してくれています。





・冷蔵ケースのドレンタンクの水を捨てる


厨房に設置されていたり、排水機能があるものはいいんですが、売り場の床に商品陳列用に設置されている冷蔵ケースなどでは、そのドレン水をトレーやタンクに一時的にためているものがあります。通常時はそこで働く従業員が定期的に捨てているので問題はありませんが、休業中はドレン水がたまり続けてしまいます。



しかもこれは、機器によっては1日とか、短いものなら半日程度で満タンになってしまうので、こまめに捨てなくてないけないんですよね。幸いうちの施設では、今のところ各売り場の従業員等で対応できているところが多く、設備員が巡回しているのは10か所程度ですかね。まあそれでも毎日確認が必要なので大変ではあります。



まあでも今回のように長期にわたる休業の場合は、商品をそのまま陳列していることはあまりないので、ケースを空にして電源を落としているところもあります。この作業は長期休業よりも、一日だけの休館日などのほうが大変になる作業ですね。





・残留塩素濃度の低下に注意する(水道管と給湯器)


水道水には消毒のための塩素が含まれています。水道管内の水がほとんど動かなくなると、その塩素濃度がだんだん下がっていってしまうようなんですよね。



施設のどこか一部でも人が利用していると少なからず水は使うことになると思います。そうなると受水槽や高置水槽などは新しい水が入ってくるので塩素濃度が下がることはないと思いますし、そこから各フロアに送られる縦管も水の入れ替えは起きています。



ところが全く使用していないフロアがあると、そのフロア内の横管の水がほとんど動かず、だんだんと塩素濃度が下がってきてしまうということなんですよ。特に縦管からの距離が長い末端の蛇口では影響が大きくなりますよね。



ビル管理では定期的に残留塩素濃度を測っていますから、そういう蛇口ではしばらくの間水を出しっぱなしにします。通常時であれば20~30秒程度流したところで計測すれば良かったのが、休業が長引いているこの状況では、5分とか10分くらい出しっぱなしにしなくてはならないこともあります。



なんか水がもったいない気もしますが、それによって安全な水で水道管が満たされることになるんですよね。



ただこの残留塩素測定はすべての蛇口で行われるわけではありませんので、定期的にすべての蛇口で行うのが理想です。これは前述の排水トラップの対応と重なりますが、封水切れを起こさないように水を流すことで塩素濃度の低下も防げるということですね。



そして給湯器についてなんですが、その仕組みによっていろいろなケースがあると思うんですが、内部にタンクが設置されているタイプでは、そのタンク内の残留塩素濃度が低下することがあります。これも定期的に"お湯"を流して、タンク内を一度空にする必要があります。まあタンク内すべてではなく半分くらい入れ替われば十分かもしれませんが。





ビルメンの仕事は、長期休業という利用者が少なくなる状態では基本的に仕事量も少なくなる傾向だとは思いますが、逆にこれらのような利用者が少ないからこそやらなくてはならない仕事が発生したりするんですよね。緊急事態宣言も延長しそうな気配を見せていますし、まだまだこういった対策は必要になりますね。